認知症とは?種類や症状・自己診断チェックリストと予防法も

    人口の高齢化が進んでいる昨今、認知症という病はとても身近なものになりました。

    誰にでも起こりうる病のひとつとも言える認知症についてあらかじめ知り、備えておくことは、自分にとっても、自分の身近な人にとっても大切なことだと言われています。

    そこで今日は、認知症についてまとめてみました。

    もくじ

    認知症とは?

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    人間の活動をほとんどコントロールしている司令塔である脳。

    その脳がうまく働かないと、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。

    かつては痴呆症といわれていた、認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。

    認知症の種類とその原因・症状は?

    発症率の高い認知症についてまとめてみました。

    アルツハイマー型認知症

    認知症の割合として最も多いアルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドベータというたんぱく質が溜まって正常な神経細胞が壊れ、脳萎縮がおこることが原因だと言われています。

    アルツハイマー型認知症の発症には加齢や遺伝が関係するということはこれまでにも知られています。

    しかし近年、糖尿病や高血圧などの方はそうでない方よりもアルツハイマー型認知症になりやすいことも科学的に証明されています(糖尿病・高血圧だと2倍、脂質異常症だと3倍)。

    そのため、予防には生活習慣の改善が重要であると言われています。

    アルツハイマー型認知症の症状

    ・初期(期間2〜6年)
    忘れていることを忘れているという状態

    食べた食事の内容を忘れるのではなく、食事を取ったこと自体を忘れるという症状です。

    ・中期(期間2〜3年)
    過去と現在の区別がつかなくなっていき、比較的新しい記憶からなくなり、古い記憶の方が残る傾向にあります。

    過去の記憶から「いつものように出勤しよう」と家を出てから、どうして家を出たのかどこに向かっているのかが分からなくなったりして、徘徊などの症状が現れるのもこの時期です。

    また、便意や尿意が分からず、失禁の症状が現れます。

    ・後期
    脳の萎縮が進行して、言葉の意味や語彙も失われていき、会話ができなくなってきます

    食事に集中できないため介助が必要になり、歩行が緩慢になり、姿勢が前倒しまたは左右どちらかに傾いていたりします。

    やがて寝たきりになり、上下肢の関節が拘縮し、嚥下障害も出て、栄養不良と誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。

    脳血管性認知症

    アルツハイマー型についで多く、認知症の20%を占めている脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳の血管障害によって起こる認知症のことです。

    原因となる血管障害は生活習慣病が原因で引き起こされるため、生活習慣を見直して、高血圧・高脂血症・糖尿病などにならないようにする事が脳血管性認知症の予防に繋がります。

    また、脳血管障害を早期に治療してリハビリを行えば、症状の進行を抑えることも出来ると言われています。

    脳血管性認知症の症状

    ・初期
    意欲低下や自発性低下、夜間の不眠や不穏が目立ち、どれも症状の変動が激しいことが多いです。

    また影響を受ける脳の部位が限られているため、できることとできないことがはっきりしていることが特徴です。

    非常に小さな脳梗塞や脳出血が起こった場合には、自覚症状がなかったり、ふらつきやめまいがする程度で気がつかないこともあるそうです。

    ・中期以降
    脳血管性認知症は脳血管疾患が原因で引き起こされるので、発作が起こる度に症状が段階的に重くなります

    また、脳血流が少なくなる事が原因なので、認知症の症状が日ごとに大きく変わります

    ダメージを受けた脳の部位によって症状が異なるため、記憶障害がひどい一方で判断力は保たれているという「まだら認知症」がみられるのも特徴です。

    レビー小体型認知症

    レビー小体型認知症は、レビー小体というたんぱく質が脳にたまることで起こる脳の萎縮が原因だと言われています。

    このたんぱく質はパーキンソン病の原因にもなることが近年分かっていますが、なぜ異常なたんぱく質がたまるのかはまだ解明されていません。

    レビー小体型認知症の症状

    ・パーキンソン病に似た症状で、身体の動きが緩慢になります。

    身体が硬くなり、歩行の障害が出たり転倒しやすくなります

    色がついた鮮明な人・動物・虫などが昼夜問わず出現する幻視と、それに加えて幻聴も発生したりします。

    睡眠時に夢にあわせて踊ったり、手足を動かしたり、歩いたりといった症状もあるそうです。

    ・認知機能障害も変動しやすく、良いときは話が通じますが、悪くなると話も周りのこともわからなくなり、気分や態度、行動がころころ変わります

    前頭側頭型認知症

    多くは初老期に発症し、原因まだ不明ですが、ピック球という異常構造物が神経細胞にたまる場合とTDP-43という蛋白がたまる場合が今のところ発見されていて、一つの病気というよりもいくつかの病気に分かれていると考えられています。

    10年以上かけてゆっくり進行することが多いそうです。

    前頭側頭型認知症の症状

    ・清潔保持・衛生面が管理できない、柔軟な思考ができない、反社会的な行動が増えるなど、人格や性格が極端に変わります

    決まった時間に同じ行動を繰り返さないと不機嫌になることがあります(毎日同じ時間に同じコースを同じパターンで、天候に関わらず繰り返し歩くなど)。

    ・会話をしている時などに、その場と関係ない言葉が繰り返し出てくることがあります。

    ・「電話」の事を質問しても分からない一方で、その「電話」を見て何をするものかは分かるなど、物の名前が意味する事がわからなくなり、言葉が段々でなくなる場合もあります。

    認知症チェックリスト

    武田病院画像診断センターの認知症チェックリストを紹介します。

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    認知症チェックリスト
    1. 同じことを短い時間のうちに何度も言ったり聞いたりするようになった。


    2. 話す時、物の名前が出にくく、「あれ」「これ」などと言うようになった。


    3. 以前はあった関心や興味が失われ、日課をしなくなった。


    4. 置き忘れやしまい忘れが目立つようになった。


    5. 時間や場所の感覚が不確かになり、約束事を間違えるようになった。


    6. 計算の間違いが多くなった。


    7. 慣れている所で、道に迷ったことがある。


    8. 蛇口やガス栓の締め忘れが目立つようになった。


    9. 薬の管理が出来ない。

    以上のチェック項目で、
    1~9のうち「はい」が0~2個の方: 認知症の可能性は低い
    1~9のうち「はい」が3個以上の方: 認知症の疑いがある
    ということですので、「はい」が3個以上の場合には専門機関に相談してみたほうがいいかもしれません。

    これ以外にも、「あ」からや「か」からなど、ランダムにひらがなを選んで、その文字から始まる言葉を1分間に羅列し、11個あげれれば大丈夫、11個に満たなければ別の文字で試して、いくつか試しても11個の単語があげられない場合には認知症の可能性が高いそうです。

    また認知症は、自分よりも周りが先に気づくことも多いので、身近な人が普段とは異なる行動をしている時に気付いてあげることが早期発見につながります。

    以下に挙げるような兆候がある場合には、認知症の疑いがありますので周りの方も普段から行動に気をつけて見てあげて、アレッと思うことがあったら専門機関に相談してみてください。


    ・本来はきちんとした性格の母なのに靴下を左右バラバラに履いている。


    ・料理上手な妻がいつも作っている味噌汁の具に変な食材が混ざるようになった。


    ・財布の中に大量の小銭が入っている(細かい計算ができなくなっている)。


    ・長年連れ添った優しい夫が急に声を荒げたり、些細なことですぐに怒るようになった。


    ・以前はきれいだった文字がぐちゃぐちゃで読めない。


    ・近親者が亡くなったことを忘れるときがある。


    ・お金に対する執着が異常に強くなる。


    ・ものを回転させる動作ができなくなる。


    ・探し物をするときに同じところを何度も見る。


    ・知り合いと話している間に誰だか分からなくなった。

    認知症を予防するには

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    現時点では残念ながら、「現在こうすれば認知症にならない」という方法はないそうですが、最近の研究で「どうすれば認知症になりにくいか」ということが少しずつわかってきています。

    認知症になりにくい生活習慣

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    認知症にならないために、健康なうちから実践できる生活習慣を紹介します。

    認知症になりにくい生活週間その1:食習慣

    *野菜・果物(ビタミンC、E、βカロチン)をよく食べる
    *魚(DHA、EPA)をよく食べる
    *赤ワイン(ポリフェノール)を飲む
    最近では、アマニ油やエゴマ油などオメガ3脂肪酸の摂取も推奨されています。

    さらに、チョコレートの摂取が認知症の予防になるという研究結果も発表されました。

    唾液を多く出すことで脳が活性化されるという研究もあるので、よく噛んで唾液を出すことも予防には有効です。

    認知症になりにくい生活週間その2:運動習慣

    週3日以上の有酸素運動をする
    歌を歌ったり、踊りを踊ったりという動作も脳を活性化させると言われています。

    認知症になりにくい生活週間その3:対人接触

    人とよくお付き合いをしている

    認知症になりにくい生活週間その4:知的行動習慣

    文章を書く・読む・ゲームをする・博物館に行く など
    また、寝る1時間前にはスマホなど電子機器を見ないようにすることも予防につながるそうです。

    認知症になりにくい生活週間その5:睡眠習慣

    30分未満の昼寝をする、起床後2時間以内に太陽の光を浴びる
    生活習慣を見直して、これらのことに気を付けながら過ごすことで、生活習慣病を予防し、認知症になりにくい身体を維持することが重要です。


    以上、
    ・認知症とは?
    ・認知症の種類とその原因・症状は?
    ・認知症自己診断チェックリスト
    ・認知症の予防法は?
    の内容でお送りしました。

    楽しい人生を長く送るために、元気なうちから意識して過ごしたいと思います。

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