ボジョレーヌーボーの解禁日とは?なぜ日にちが決まっていないの?
日本でもすっかりおなじみなったボジョレー・ヌーボー。
飲んだことはない方も、その名前だけは聞いたことがあると思います。
いつもある時期になるとテレビなどで話題になるボジョレー・ヌーボー。
「ボジョレー・ヌーボーの解禁日」って言葉、よく耳にしますよね。
そこで今日は、そもそも「ボジョレー・ヌーボーの解禁日」って何か?を調べてみました!
ボジョレー・ヌーボーとは
まず、ボジョレー・ヌーボーについて簡単に説明してみます。
ボジョレー・ヌーボーというのは、フランスワインの種類のひとつです。
ボジョレーというのはフランスの中東部、ブルゴーニュ地方の南部に隣接する丘陵地帯(ボジョレー山地)の一帯をさしていて、ボジョレーで生産されるワインはブルゴーニュワインの1種とされています。
このボジョレー地方で生産されるワインのうち、その年に採れたブドウを数週間熟成しただけの、フレッシュなワインのことを、ボジョレー・ヌーボーといいます。
「ヌーボー(またはヌーヴォ)」は、「新しい」という意味で、ボジョレー・ヌーボーというのは「ボジョレー地方で生産された新しいワイン」という意味なんです。
ボジョレー・ヌーボーの醸造には、数週間でワインにすることができる、MC(マセラシオン・カルボニック)法と呼ばれる急速発酵技術が使われれいます。
では、他の地方にも「ボルドー・ヌーボー」とか「コート・デュ・ローヌ・ヌーボー」とかが存在するのか?というと、存在しません。
というのは、通常他の地域で生産されているワインは、数ヶ月以上熟成させなくてはワインとして飲むことができません。
ボジョレー地方で栽培されているブドウの品種「ガメイ種」だけが、収穫から2ヶ月ほどでワインとして飲める品種なんだそうです。
ガメイ種のブドウ
ワインとしてはフレッシュで軽い仕上がりになりますが、その年の「ガメイ種」の出来を比べる「試飲のための新酒」の意味合いから、早い段階で市場に出回るようになったそうです。
ボジョレー・ヌーボーの正しい発音について、別の記事を書いていますので良かったら読んでみてくださいね!
▶ ボジョレー・ボージョレ・ボージョレー、発音はどれが正しい?
ボジョレー・ヌーボーの解禁日とは?
ボジョレー・ヌーボーというと、毎年「解禁日」というのがありますよね。
日本でも、その日を待って午前0時に、本国フランスよりも早く飲むことを楽しみにしている方もいらっしゃると思います。
「解禁日」というからには、その日までは禁止という意味なのでしょうか?
ボジョレー・ヌーボーの解禁日の由来は、1951年にさかのぼります。
Journal officiel de la République françaiseという、フランスの国営新聞(1868年創刊・2015年12月22日号で廃刊)の9月8日号に、ある法令が発表されました。
その内容は、「その年から、(正式な)ワインの新酒の発売は12月15日からとする」というものでした。
これは、醸造から日の浅い、粗悪なワインが市場に出回るのを防ぐように決められた法令でした。
しかし、突然の「日付指定」に、ワイン醸造業の人たちは困惑し、嘆願書を提出します。
その結果、最初の法令の通達から2ヶ月あまりが経った11月13日に、「ある一定の基準を満たしていれば、12月15日を待たずとも本日(11月13日)からワインの流通をしても良い」という通達が政府から下されました。
この時から、その年に醸造した、フランス政府から正式に認められたワインの新酒の流通は「11月13日から」という風に決まり、この日付は1967年まで続きました。
ボジョレーヌーボーの解禁日はなぜ日にちが決まっていないの?
フランスで醸造されているワインの中で、その年にブドウを収穫して11月からワインとして飲めるようになるのは、ボジョレー地方のブドウ「ガメイ種」に限られるため、この日付は主にボジョレーの新酒が市場に出る日を意味していました。
1967年にはこの「ワインの流通解禁の日」が11月15日に変更され、さらに1985年には、現在の11月第3週の木曜日に変更されました。
日付が変更にされたことにはいくつかの理由がありますが、主には次のふたつが理由とされています。
- 11月11日は第一次世界大戦の終戦の日で、「1918年休戦記念日」として祝日とされており、祝日からすぐにまた解禁日となると少しバタバタしてしまうため
- 11月15日という日付では、週末に重なってしまうことがあり、最近までフランスは日曜日にスーパーなどが休みだったため週末を避ける目的で木曜日とした
このような理由から、ボジョレー・ヌーボーの解禁日は○月○日という決め方ではなく、毎年11月の第3週の木曜日(=11月15日から21日の間の木曜日)という、ワインの流通に都合の良い日にちになっているわけです。
ちなみに、どの国でも毎年11月の第3週の木曜日の0時になると流通を開始して良いので、日本ではフランスよりも8時間早く飲むことができます。
また、ボジョレーヌーボーが梱包されている箱には、「○○年11月○○日午前0時以前の販売および消費 厳禁」と張り紙がしてあるそうですが、フランス国内のワイン法による決まりのため、これより早くに飲んでも日本国内で罰せられることはないそうです。
また、日本では「解禁日」と呼ばれているこの日ですが、フランスでは「 L’arrivée du beaujolais nouveau(ボジョレー・ヌーボーの到着)」と呼ばれ、当日は店頭に「Le Beaujolais Nouveau est arrivé!(ボジョレー・ヌーボーが到着しました!)」との文字が並びます。
英語でも、この日は「Beaujolais Day(ボジョレーの日)」と呼ばれ、日本のように「解禁日」なんて仰々しい言い方はしないようですね。
以上、今回はボジョレーヌーボーの解禁日についてでした。
目次〜この記事に書かれていること〜
11月の第3木曜日、今年はどんなボトルが並ぶのか楽しみですね!
最後まで読んでいただきありがとうございました。