お雛様を飾る意味は?お内裏様など歌の歌詞の意味は?扇など道具の意味も

    お雛様を飾る意味は?お内裏様など歌の歌詞の意味は?扇など道具の意味も
    ひな壇4段目までの画像
    「お雛様」は、葉やワラなどで作られた形代から平安・室町時代までの紙雛、流し雛へと変化し、江戸時代には人形遊びと結びついて現在の形になったようです。

    いつごろから流しびなから飾る人形にかわったのでしょう?
    そしてその理由は?
    雛人形には豪華な数々のお道具や装飾品がついてますがそれらになんらかの意味合いがあるのでしょうか?
    また、あまりにも有名になりすぎたひな祭りの歌「あかりをつけましょ ぼんぼりに~」の歌詞で始まる『うれしいひなまつり』 ですが、多くの人々に多大な影響と誤解をひろめてしまった曰く付きの歌なのです(^^)
    『うれしいひなまつり』の歌詞についても解説していきます。


    もくじ

    お雛様を飾る意味は?

    男雛と女雛の画像
    雛人形は元々、「上巳の節句」の際に草や藁で作った人形(ひとがた)で体を撫で穢れを移したものを川に流すことで厄払いとされていた行事(流し雛の原形)です。


    貴族階級の女児が行っていた紙の人形のおままごと遊びである「ひいな遊び」が合わさって雛人形という言葉が生まれたと思われます。

    ひいなには、小さくてかわいらしいものという意味と大きいものを小さくするといった意味もあったから人形(ひとがた)とも意味が重なり、いつしか人形(ひとがた)は「流しひな(雛)」と呼ばれるようになっていきます。

    (この流し雛の風習は今も一部地域で行われています。


    流し雛から飾る人形に変わったのは、何時頃でしょうか。


    江戸時代になると人形作りの技術が発達し、紙で作られていた流しひな(雛)はより精巧に豪華になっていきました。

    精巧で豪華になった雛人形は川に流すことはなくなり、飾るものへと変わったのです。

    江戸時代初期頃には雛人形は財力の象徴となりより豪華になりました。

    質素な内裏雛(男女一対)だけから内裏雛を乗せる段や屏風が付き服も十二単などより豪華なものとなっていきます。

    この頃から幕府の大奥でもひな祭りを行うようになり、やがてこの習慣は上流から町民へ、大都市から地方へと大きく広がっていったのです。

    江戸中期には、女性たちばかりでなく、女の赤ちゃん誕生を祝う初節句の風習も生まれて、ひな祭りはますます盛んとなりました。

    江戸市中には雛市(ひないち)が、日本橋十軒店(じゅっけんだな・いまの室町)や浅草茅町(かやちょう・いまの浅草橋)など各所に立って大変にぎわいました。

    またこの頃から附属のひな人形やひな道具の種類も多くなり、かなり贅沢なものが作られるようになりました。

    豪華にになりすぎた雛人形に対して江戸時代幕府はひな人形の華美を禁じるお触れを再三出しています。


    三代将軍徳川家光の出した「慶安の御触書(おふれがき)」には「雛道具の蒔絵(まきえ)、金銀の箔押しは禁止」と記載されていたそうです。

    人形を飾る意味は「財力の象徴です」がその根本は女児の健やかな成長と幸せを願って飾るのは間違いありません。

    かわいい子供もしくは孫のためにはいくらお金を出しても惜しくないということでしょう。

    明治時代には新政府は従来の節句行事を廃止して新しく祝祭日を定めました。

    節句行事は一時衰えますが、しかし、長い間人々の生活に根を下ろした行事は簡単になくなる事はなくやがて復活します。

    こうして上巳、端午、七夕など子どもに関係深い節句は、今も民間行事として盛んに行われてます。

    幾度も消滅の危機があったにもかかわらず雛祭りを始め子供にかかわる行事が消えなかったのは子供に対する親の想い大きさによるものではないでしょうか。

    「お内裏様」などのひな祭りの歌の歌詞の意味は?

    雛人形7段飾りの画像
    「あかりをつけましょ ぼんぼりに~」の歌詞で始まる有名な歌は、
    『うれしいひなまつり』
    という曲名です。

    この歌は、多くの人々に多大な影響と誤解をひろめてしまった曰く付きの歌なのです。

    ツッコミどころ満載なのですがまず、最大の問題の部分ですが
    「お内裏様とおひな様 二人ならんで すまし顔 」
    この歌詞は大きな間違いが3つもあります。


    まず「お内裏様」ですが、誰の事でしょう?歌詞からすると男雛でしょうか?
    ほとんどの人がそう思うでしょう。

    しかし実際は違います。


    この『うれしいひなまつり』のおかげで、ほとんどの人がお内裏様は男雛(殿)と思い込んでしまっていると思われます。

    お内裏様のお内裏とは天皇の住居を指す言葉とのことで、天皇の住居に住んでいる人のことを内裏様と呼んでいたとのことです。

    つまり天皇と妃である皇后の二人をお内裏様と呼ぶのです。

    次に「おひな様」ですが、歌詞から女雛(姫)のことだと誰もが思うでしょう。

    しかし、こちらも実際は違います。

    おひな様とはひな人形すべてのことです。


    お内裏様=男雛
    おひな様=女雛

    という誤解を『うれしいひなまつり』という歌が日本中に広めてしまったのです。

    3つ目の間違いは「二人ならんで」とありますが前述の通りお内裏様(2人)+おひなさま(17人)=19人並んでが正解(笑)になってしまいます。

    「お殿様とお姫様 二人ならんで すまし顔」という歌詞にすべきでしょうか。

    3番の歌詞ですが「すこし白酒(しろざけ) めされたか赤いお顔の 右大臣(うだいじん) 」とありますがここにも間違いがあります。

    「赤いお顔の 右大臣」というう歌詞ですが赤い顔は実際は左大臣なのです。

    もっと困った間違いがあります。

    右大臣(うだいじん)は、朝廷の最高機関で太政官の職の一つです。

    左大臣が一番偉く、左大臣が不在の場合は右大臣が職務を行うことになっていました。

    この「右大臣」にどのような間違いがるのでしょう。

    上記の説明の通り、右大臣、左大臣は お内裏様を除けば雛人形の中でもっと高い役職です。

    ここで雛段の並びに注目してみましょう。

    最上段=お内裏様・親王(殿と姫様)
    2段目=3人官女

    お姫様おつきの女官が三人官女です。

    この三人官女、楽器を演奏し、歌を詠み、漢文をたしなみ、家庭教師まで務める多彩な才能を持つ女性達で中央の一人のみ既婚者で三人の中の最年長者です。

    女官長といったところでしょうか。

    三段目 五人囃子
    お内裏様とお雛様の結婚式の祭り囃子を演奏している、元服前の貴族の師弟たちです。

    将来有望な身分のある貴族の子供達ですが将来高い役職を嘱望する若者たちです。

    4段目「うれしいひなまつり」で歌われるところの右大臣と左大臣の位置です。


    おや?と思われた方は鋭いです。

    朝廷の最高機関で太政官の職でそれぞれ1名しかいない右大臣と左大臣が4段目です。


    お姫様のおつきの3人官女や身分が高いとはいえ元服前の若者の五人囃子より低い段にいるなんておかしいでしょう。

    3段飾りにいたっては、右大臣も左大臣もいません。

    なぜでしょう?
    華やかとは言えないむさくるしいおじさんだからでしょうか?
    いえいえ(笑)
    実はこの二は人右大臣でも左大臣でもありません。


    その正体は随身(ずいしん)です。


    随身とは、お殿様・お姫様お付きのボディガードのことであり、外出の際には剣や弓矢で、お殿様たちをお守りする役目を担っています。

    随身は良く見ると、年配者と若者のペアになっています。

    『うれしいひなまつり』のせいで右大臣左大臣と誤解されました。


    あまりにも広く浸透してしまったため雛人形メーカーでさえ右大臣左大臣と公称してます(もちろんメーカーは随身であることは知ってます)(^^)

    お雛様の扇などの道具の意味は?

    お雛様の道具の名前や意味を見ていきましょう。

    女雛の装飾品

    女雛の装飾品といえば扇ですよね。

    あの扇は、檜扇(ひおうぎ)または袙扇(あこめおうぎ)といいます。

    正装を着用する際に手に持ちます。

    宮中行事の作法などをメモするために用いられたともいわれますが、女性の場合は顔を隠すためにも用いたので近世では大翳(おおかざし)とも呼びます。

    男雛の装飾品

    男雛の少食品は冠と、聖徳太子みたいな手に持つ板ですよね。

    冠(かんむり)
    束帯を着用する際に着用します。

    纓(えい)
    冠の後ろに挿す付属品です。

    笏(しゃく)
    束帯を着用する際に手に持つ長細い板です。

    実際には威厳を示す為ではなく、公事の際、笏(しゃく)の後ろにメモ書きした紙を張り付けるなどして活用されていたようです。

    太刀(たち)
    束帯を着用する際に腰に差す刀です。

    お雛様の御道具

    御道具は「ひな壇の装飾」と「嫁入り道具のミニチュア」、「お輿入れ道具(おこしいれどうぐ)」の三種類があります。

    雛人形は天皇(宮中)の結婚式の様子を模したもので御道具は実際の道具のミニュチュアです。

    お雛様の御道具は雛人形を引き立てる小物で、それぞれに意味があります。

    名前を聞くとなんとなく用途がわかるものが多いのではないでしょうか。

    ひな壇の装飾

    ひな壇の装飾は以下の通りです。

    • 屏風(びょうぶ)
      屏風は平安時代などの住環境からして、風除けなどで重要な役割を果たしていました。

      雛人形の屏風は結婚式などで見られるものと、ほとんど大差はありません。

    • 几帳(きちょう)
      のれんの様に上から布を垂らしたものを帳(ちょう)と言い、それをT字の木枠から垂らすことで、衝立(ついたて)として動かせるようにしたものを几帳と言います。

      その大きさから三尺几帳と四尺几帳があり、四尺几帳は部屋を仕切るのに使い、三尺几帳は身の周りに置き、身を隠すのに使われました。

      布製の間仕切りといったとこでしょうか。

    • 雪洞(ぼんぼり)
      「雪洞」と書いてボンボリと呼びます。

      灯りをともした状況で「ほんのり」という言葉から生まれたという説もあります。

      「雪洞」(せつどう)は雪山でビバーグをする時に掘る、雪の縦穴の事です。

      雪と風を避けるために下に穴を掘って、寝床を作ります。

      場合によっては、テントよりも暖かいらしいですが、雛祭りのボンボリとの関連は形がにているからなのでしょうか?

    • 毛氈(もうせん)
      赤い毛氈(もうせん)は 、お雛様の必需品です。

      最近の雛人形は木製の雛壇や飾り台が増えていますが、やはり緋色のもうせんは雛祭りの定番です。

      毛氈の裾模様は、繧繝(うんげん)模様と呼ばれています。

      ぼかしを使用せずに、同系統の色を淡色から濃色に並列にして色彩の濃淡の変化をあらわす彩色法のことです。

      紅・青・緑・紫などの色を多く使います。

      朝鮮の古墳壁画などにみられ、奈良前期に日本に伝来しました。

      赤絨毯をイメージしたものでしょう。

      最上段にの男雛と女雛の間に飾るのは三宝(さんぽう)三宝もしくは三方(さんぼう)とは、神道の神事において使われる神饌を載せるための台です。

      高貴な人物に物を献上する際に使用される道具。

      寺院でも同様のものが使われ三宝は仏・法・僧にかけて三宝(さんぽう)と書かれることもある。

    • 二段目に飾る高杯(たかつき)
      高杯(たかつき)は脚台をもつ器です。

      縄文、弥生時代からある形で身分の高い人に献上するための器です。

      雛道具としては二段重ねの紅白の丸いお餅や和菓子などを載せます。

    • 菱台(ひしだい)
      四段目には菱台(ひしだい)を飾ります。

      色味が美しい菱餅を乗せて支えるためのものです。

      猫の足を模した猫足型菱台や、箱形になった土台のものが一般的です。

      菱餅を乗せる盆の部分の多くが菱形となっており、菱餅と同じ形状を示しているのが特徴的です。

      飾り付けるときは男雛の前と女雛の前に一つずつ配置することが常で2つで1組の状態となっています。

    • 菱餅(ひしもち)
      菱餅といえばその名の通り菱形ですが、菱形だから菱餅というわけではなさそうです。

      その形には、心臓の形であるとか菱の実の形であるとか大地を表しているという説など諸説あります。

      桃の節句にふさわしい意味があるようです。

      そして色については3色の場合、ピンク(赤)は魔除けの意味と桃の花のイメージもあります。

      白は子孫繁栄や長寿の意味。

      緑には厄除けや健康を意味しています。

      ひな祭りと言えば菱餅ですがひな祭りに食べられたり、飾られるようになったのは雛祭りと同様に中国の「上巳節」に食べられていたお餅に由来します。

      母子草という草を使っていて、「母子が健やかに過ごせますように」という願いが込められていたそうです。

      この上巳節が日本に伝わってきた時に、よもぎを使うようになり、ひな祭りにもよもぎ餅が食べられていました。

      さらに、江戸時代に菱の実を入れた白い餅が加わり、2色になりました。

      明治時代にクチナシを入れた赤い(ピンク)のお餅も入り、今のようなピンク、白、緑の3色のお餅になりました。

      菱餅には「健やかな子に育ってほしい」という願いが込められています。

    • 橘と桜
      五段目には 橘と桜を飾ります。

      お雛様は京都御所をモデルにしたもです。

      古いお雛様で「御殿飾り」というのをご覧になった方もいるかと思います。

      京都御所のお庭には橘と桜が植えられてます。

      「右近の橘」、「左近の桜」とも呼ばれます。

      この場合はお雛様から見た場合の左右ですから向かって右が桜となります。

      左近の桜で「さ」の「さ」と憶えましょう。

    六目と七段目はすべて御道具が並びます。

    嫁入り道具のミニチュア

    嫁入りするときに(お嫁さんがお婿さんの家へ移動するときに)必要な道具です。

    • 箪笥(たんす)
      衣服や服飾用の小道具などを納める収納家具。

      引出しがついていて、江戸時代になって現在の形がつくられました。

      当然のことながら、お雛道具も江戸時代以降ということとなります。

    • 鋏箱(はさみばこ)
      長持ちと同様に外出の際に必要な衣類・調度・装身具などを納めて、従者に担がせたものです。

      四角形で、フタがついていて棒をフタの上に通して肩に担ぎました。

      古来、竹に衣服を挟んで運んだために、鋏箱という名前となりました。

      大名行列では先頭を行くため、先箱「さきばこ」と呼ばれます。

    • 長持(ながもち)
      衣服や調度などを納める長方形の大型の箱で外出用のもので吊り金具が両方についていて棒を通して前後二人で担ぐように作られています。

    • 鏡台(きょうだい)
      鏡台は今で言う化粧台やドレッサー。

      鏡と台が一体化したもので化粧用具を納める事ができます。

      この鏡台も婚礼家具として嫁入り道具として用意されます。

    • 針箱(はりばこ)
      裁縫道具一式を納めた針箱が用意されました。

      今で言う裁縫箱のようなものですね。

    • 火鉢(ひばち)
      簡略形は四角の箱のみですが、正式な火鉢は「台火鉢」と呼ばれて猫足形の4本の足のついた四角形をしています。

    • 台子(だいす)(茶道具)
      茶の湯に使用される移動式の棚のこと。

      正式な茶の湯に使用されるもので、風炉・釜・水指・建水・杓立・蓋置の皆具を載せたものです。

      茶道具セットです。

      茶道は武家の子女にとって花嫁修業というより’たしなみ’に近い存在だったようです。

    • 重箱(じゅうばこ)
      食べ物を入れる容器で、おせちなどで定番ですね。

      嫁入り道具として用意されました。


    • 膳(おぜん:四段目に飾ります)

      御膳は、平椀(向かって右上)、汁椀(右下)、高杯(中央)、壺椀(左上)、飯椀(左下)の5つがのった御膳です。

      食事のためのお道具。

      これがあるとお人形さん遊びらしいですね。

    お輿入れ道具

    お雛様の輿入れ道具の画像
    お輿入れ道具とは、嫁の輿を嫁ぎ先へ担ぎ入れる為のお道具たちです。

    • 牛車(ぎっしゃ)
      牛にひかせる乗用の屋形車。

      御所車とも呼ばれます。

      乗る人の身分や用途によって、種類があり、名称も異なります。

      唐庇車(からびさしのくるま)
      雨眉車(あままゆのくるま)
      檳榔庇車(びろうびさしのくるま)
      檳榔毛車(びろうげのくるま)
      糸毛車(いとげのくるま)
      半蔀車(はじとみのくるま)
      網代庇車(あじろびさしのくるま)
      網代車(あじろのくるま)
      八葉車(はちようのくるま)
      金作車(こがねづくりのくるま)
      飾車(かざりぐるま)
      黒莚車(くろむしろのくるま)
      板車

      などの名称があります。

    • お駕篭(おかご)
      御所車同様、移動に用いられた乗り物です。

      貴族の女性が使用し、両端を人がかつぐ乗り物です。


    以上、今回はお雛様を飾る意味や「お内裏様」などの歌の歌詞の意味、扇等の道具の意味を紹介しました。

    精巧なミニチュアは心をわくわくさせてくれます。

    おひな様の御道具を見るとここお人形遊びやままごとの原点が感じられますね。

    雛祭りの起源の平安時代から当時の子供たちの遊びの原点が雛人形の中に脈々と受け継がれ今に至ると思うと悠久の歴史のロマンも感じられます。

    子供のひな祭りを祝うだけでなく悠久の歴史にに想いをはせてみるのもいいですね。

    さいごまで読んでいただきありがとうございました。

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